2011-01-01から1年間の記事一覧

狂言「耳奄羅」

シテ:テナーリ・ラマン 女 :テナーリ・ラマンの妻 アド:妻の縁者、アディナーラーヤナ・ラオ 女 :これはテナーリ・ラマンと申す者の妻でござる。今日たわらわの縁者なる人がおとずれなさるによって、ラマンどのを呼びいだそうと思いまする。 こちの人、…

ところかわれば・弁論篇

いろいろな国で日本語を教えて、今は南インドのバンガロールにいる。 その国にはその国の事情があり、特徴がある。国を替わるたびにそれを感じる。日本語教育というひとつの定点をもって、世界各国の観察ができる。快適とは言いかねる生活環境や薄給に耐えて…

この国の国父

ガンディーはインドで「国父」として敬われているようで、彼の誕生日は祝日、彼の肖像はインドのすべての紙幣に描かれている。 だが、「国父」と敬われる人々は、回天の将軍だったケマル・パシャはもちろん、孫文にせよレーニンにせよ武力をもって革命を成就…

インドを路上で

修士課程を作るんだと。だもので、何となく忙しくしていた。なに、実のところはたいして忙しくはないんです。ただ、いつもそのことが頭の隅のどこかにあって、ひまなときも頭はほとんどくつろぐことがなかった。それをもって忙しいと言っているわけなんだけ…

アナトリアを駆け足で

ひょんなことで、年末年始は旅に明け暮れることになった。 2011年はアナトリア高原を走る夜行バスの中で迎えた。――と日本語で書くと、一種ただならぬ感じがする。どうして、どんな事情で?「窓は夜露に濡れて、都すでに遠のく…」北帰行か? あらゆる文は、そ…

「みんなのトルコ語」

「デファクト・スタンダード」ということばが好きである。別にスタンダードになることを目指していたわけではないのに、ユーザーがそれを支持することによって結果としてスタンダードとなったもの。日本語教育の分野では、「新日本語の基礎」がそうだ。あれ…

フクシマをもっと人災にするのか

「管おろし」だそうである。だが、彼ではどうしてだめなのか、よくわからない。むろん、あの人が宰相の器だとは思えないし、ましてこんな時の総理にふさわしいとは毫も思わない。しかし、彼以前の首相や次の首相候補に名前の挙がる人の顔を思い浮かべて、彼…

亡命大国

ハンガリーで反乱を起こしたラーコーツィやコッシュートは、敗れたあとトルコに亡命した。コッシュートはそこからアメリカへ渡ったが、ラーコーツィは死ぬまでトルコに住んで、その町テキルダウ(ラドストー)にはラーコーツィ博物館がある。イスタンブール…

さくらさんはどんな歌をうたうのか

寅さん映画で、寅さんが夜遅く酔っ払った飲み友達をとらやに連れてきて、さくらに何か歌えと命じる場面があった。強いられてさくらは学校唱歌を歌った。それを妙によく覚えている。寅さんはそのあといたく反省する(「あとで反省しなければならないようなこ…

Facebookはじめました

私はITのことは、さっぱりと言っていいくらいわからない。それでも、パソコンも使えばインターネットもするし、デジカメも携帯電話ももっている。現代の中核労働力に必要とされるものは最低限クリアしていると言えるかもしれない。しかし、もってはいても使…

「ユスキュダルの町に来てみたら」

江利チエミに「ウスクダラ」という歌がある。当時かなりヒットしたらしい。もとはトルコの民謡だが、日本語では妙な歌詞がついている。 「(セリフ)皆さん、トルコ帽をごぞんじでしょう。 ウスクダラはそのトルコの西のはずれにある古い小さな城下町です。 …

100段階評価

まるきりイメージのわかない国というのもあるけれど、長く外国と関わっていれば、たいていの国についてあるイメージをいだいているものだ。しかし実際にその国に住んでみると、そのイメージを裏切られることはままあり(いい意味でも悪い意味でも)、それが…

シャルワル通学

あるとき「すそ」とは何かと質問されて、説明するのに、ジャケットにもズボンにも裾はあるが、スカートがいちばんわかりやすかろうと思い、スカートをはいた学生をさがしたら、クラスにひとりもいなかった。みなズボンなのである。 そのクラスだけ特別という…

トルコでドイツのサッカーを見る

トルコ人がサッカー狂だというのは聞いていたが、たしかにそうだ。女の子も自分のひいきチームがある。ヨーロッパやロシアでは大学出のインテリはサッカーをきらう人が多いし、女子学生はまずもって興味がないのがふつうだ。だがトルコでは、男子はもちろん…