先日、東京からの帰り道、岡山からの伯備線で、いつもの冬の山陽快晴、山陰積雪の風景を見た。関越道の立往生が発生した寒波のときである。 雲もほとんどない晴れた広島を出たバスが快調に走行し、少しうとうとしかけていたら、やにわに速度を落としはじめ、…
ボルネオ島西海岸のサラワク州の首都はクチン。その中心部から南に下がり、バトゥ・リンタン通りから少し北に入ったところ、かつての捕虜収容所から遠からず、華人墓地の東に、「極楽山」と書かれた門と柵に囲まれた日本人墓地がある。紀元2600年(1940)記…
A:きょうは運動会ですね。 (運動会と書いた紙を示す。以下同じ) B:運動会の前には会議をたくさんしました。 A:会議で議論しました。 B:「論」…。議論では論理が大切です。 A:理論が必要です。 B:また「論」ですか…。議論ではよく論争が起こります。 …
「新しい生活様式」なんだそうである。 いろいろな実践例が数多く列挙され推奨されているが、その中にこの新型コロナ禍が収束したあとも本当に必要なものはどれだけあるのか。皆無ではない、という程度ではないのか。実のところで言えば、これは臨時生活様式…
サラワクという地名はあるいは多くの人にとって耳慣れないかもしれないので、はなはだ迂遠ながらその説明から始めよう。 サラワクはボルネオにあるマレーシアの州である。すると、あれ、ボルネオはインドネシアじゃなかったっけ、カリマンタンというのは何だ…
ものごころついたときからうちにテレビがあり、ずっと見てきた。テレビ受像機がない状態でなければ、何かしらは見ていた。テレビは24時間いろいろな番組をやっている。各人の好みによって何を見てもいいし、何を見なくてもいいし、全然見なくてもいいどころ…
2月某日、アグネス・キースの「White Man Returns」読了。日本語訳で読んだ「風の下の国」「三人は還った」に続き、これで彼女のボルネオ三部作は全部読み終えた。雨季の晴れ間を盗んで、川べりのテラスで昼はテタレを、夕方はビールを片手に、サラワクの川…
12月1日、JLPT試験日。いつものように合格祈願に行く。今回はSJFCの近くのスーパーの屋上にある天后宮。見晴らしがいい。合格の見通しもよければいいが。12月某日、スタジアム・サラワクでアジアマスターズ陸上競技会が開かれる。日本人も多数参加しているよ…
私は素人である。医学の専門知識などまったくない。そんな人間がわずかな情報から常識のみによってこの病気について考えることにする。素人の寝言など聞きたくなければ、読まずにすませてほしい。 この新型コロナは「コーカソイド・キラー」であるようだ。こ…
10月某日、カーペンター通りの食堂(クチンで2番目にコロミーがうまい店)でコロミーを食べる。この店の主人は30年前に日本に留学していたそうで、日本語ができる。日本人にとってボルネオは身近でないが、その逆はけっこう身近なようだ。夕方7時からシティ…
8月某日、中華料理店でSJFC創立15周年記念ディナー。豚肉が出る。それはつまり、出席者にマレー人がいないということ。日本人2人とビダユー人1人のほかはすべて華人だから。多民族地域なのに、残念な点だ。8月某日、コダーイ国際シンポジウムが開かれている…
6月某日、ある受講生にラマダンバザールを案内してもらう。するめがあった。彼女はクオーター日本人だと知る。祖母は引き揚げのとき現地人に預けられたというから、つまり残留孤児だ。前任者も河畔で偶然クオーター日本人に会ったとブログに書いていた。案外…
3月某日、マレーシア航空でクチン到着。40分遅れ。砂日協会A会長とH事務局長迎えに来てくれる。3月某日、前任者の送別会兼われわれの歓迎会。優秀学生の表彰。H氏は翌週のうちにビザ取得、銀行口座開設、名刺作成、SIMカード購入などてきぱきとやってくれる…
いささか旧聞だが、IOCによる強引なマラソンの開催地変更という事件があり、それについていろいろな意見があった。 いわく、一生懸命準備をしてきたのに、IOCがそれを覆して一方的に決定し押しつけるのは不愉快だ。同意する。 いわく、夏にやるのが根本的な…
アニメにはまって日本語習うインスタ映えするマレーシアウガンダ ブルンジ アフリカの国エアコン強くてかぜひいたオーストラリアでカンガルーを食べるカメラはいらない スマホがあればキナバル山は富士より高いクチンよいとこ 一度はおいでケーキは食べたい …
今までは大学の日本語学科で教えることがほとんどだったから、この任地に来てとまどうことはいろいろあった。 前任からの申し送り事項に、個々の学生について「音読がまだおぼつかない」だの「やっと音読ができるようになった」だのと注記があるのに「?」と…
8月に授業で生徒に「今は夏ですか」と聞かれて、さすが季節のない国、そんな温帯では当たり前のことを質問するのかとおもしろがっていたら、その数日後には「今は冬ですか」と聞かれて仰天した。乾季と雨季という季節はあるものの、気温自体はほとんど変わら…
だめな本を2冊読んでしまった。「韓国人のまっかなホント」(金両基著、マクミランランゲージハウス、2000)と「韓国人とつきあう法」(大崎正瑠著、ちくま新書、1998)である。 「まっかなホント」シリーズはおもしろく、いくつかを楽しく読んだ。外国人か…
日本人がいた外国の土地なら、昔住んでいた人が置いていった本がどこかに溜まっているものだ。結果としてそんな本溜りから本溜りへ渡り歩く生活をしている。もともと捨てていった本だから、誰でも自由に借りられることが多く、それを読んで渇を癒やす。その…
ラマダンが終わった。これはたいへんいい習慣で、トルコにいたときそのまねごとをしたことがある。だがいいかげんなインチキ断食で、要するに昼食を食べないだけ。朝食を夜明け前にとるわけでも、夕食を日没後に食べるわけでもなく、まして日中水を飲まない…
ボルネオでうれしいことのひとつは、表示がわかることだ。ローマ字と漢字。ともに私の読める文字である。モスクにはアラビア文字、ヒンドゥー寺院にはタミール文字を見かけることもあるけれど、それは装飾みたいなものだ。マレー語と英語はローマ字で、中国…
「斉斉哈爾まで来るとはすごい。日本に帰ったら友達に自慢できるぞ。なにしろ国際都市・哈爾濱のエキゾチックな魅力が強すぎるために、大部分の旅行者は、日程を哈爾濱で打ち切ってしまうからね」(川村湊「満洲鉄道まぼろし紀行」、ネスコ、1998)。 おじさ…
「島根の近代化遺産一覧」(島根県教育委員会、2002)にリストアップされている益田市七尾町の旧若林医院の主だった若林明文(1903-78)は、温泉津の出身で、東京大学医学部を卒業し、医学博士号を取ったあと満洲に渡り、チチハル・北安・営口の満鉄病院に勤…
教室の学習だけでは日本語力はつくものではない。課外の学習こそが大事で、それは学習者自身が考えていろいろやればいいのだが、教師としても学校としてもさまざまな機会を提供すべきである。それが課外活動である。外国で教える場合はその必要性と重要性が…
日本語を教えていると、説明のためいろいろ例文を作らなくてはいけない。そのとき文中に登場する日本人には、「田中さん」の名を与えることが多い。日本で最も多い苗字は佐藤だというが、「さとう」の「とう」が長音なので、発音しにくい難点があるのだ。非…
「中国は広島の生まれ」の手品師ゼンジ―北京が好きである。日本の奇術師には、ナポレオンズとかマギー司郎とか、笑いをまぶす人が多くて、非常によろしい。寄席の色物なのだし、タネも仕掛けもあることなんぞ観客はみんな知っているのだから、それが正しい奇…
あの日馬富士貴ノ岩の事件をめぐる貴乃花の騒動以来、女子レスリング、アマチュアボクシング、女子体操と、スポーツ界の騒動が続いている(日大アメフトの悪質ファウルというのもあったが、あれは競技中の事件であるから、これらの場外騒動とは全然種類が違…
村を歩いていて、バスに乗り遅れた。のども渇いていたので、次のバスが来るまでの間食堂で何か飲んでいようと思ったのだが、中国の田舎にコーヒーなどない。それはもとより承知だ。だから、暑くもあったのでコーラにしようと決め、「kola」をくれと言っても…
ロシアというのは昔のソ連で(そのまた昔はやはりロシアだが)、超大国として友好国から多数の留学生を受け入れていたため、留学生に対するロシア語教育に力を入れていた(今も入れているのかもしれないが、それはよく知らない)。大学によってはそういう留…
今回のワールドカップは中国で見たので、必然的に漢字とにらめっこすることになった。 中国でワールドカップを見ることは、つまり膨大な漢字表記の固有名詞群を解読するということである。中国に暮らしている人、中国語で生活する人には普通の日常で、何を今…