インド

インドで初体験

暑いのが苦手で、日本にいるときは7月半ばから9月半ばまではほとんど何もできない。だから熱帯で働くなど思いもよらぬこと。外国暮らしもずいぶん長いが、雪の降らないところには住んだことはないし、雪どころか、幅1キロもありそうな川が全面凍結するような…

越境、越境、また越境

「本物」などない。あるのは「本物」の影だけだ。 外国人に「本物」を見せる、などというが、本当か。東京で歌舞伎座に連れて行けばたしかに「本物」の歌舞伎が見られるが、外国に住む外国人にはどうするのか。引越し公演というやり方もある。しかしそんなこ…

インド備忘帳

・あるとき学生たちの写真を見て、彼らはこんなに黒かったかと驚いた。もちろん黒い。黒人の黒さとは違うが、そして黒さにも人により違いがあって、アフリカ人とまがう黒さから南欧人の浅黒さ程度までグラデーションはあるが、われわれよりはもちろんずっと…

インド四変化

「日本人であることの幸せ」は無数にある、かどうか知らないが、そのうちのひとつは「本が読める」ことだ。本なんかどこでも読めるだろうと思われるかもしれないけれど、どうして、そう簡単にはいかない。書物そのものが少ない国は非常に多いし、その流通が…

能格とカースト

外国にいると、ときに日本語の本が読みたくてたまらなくなる。ふだんなら読まない本も、そういうときにはむさぼり読んでしまう(女性週刊誌とか、読み捨てミステリーとか)。下宮氏のバスク語入門書を読んだのはドイツでだった。大学図書館の書庫にあるのを…

世界は酒より広い

インドと日本の習慣の違い スシーラ・メノン父は神様をとても信じている。それで私たち子供には毎日神様のお祈りをさせていた。父が教えてくれたもう一つのことは、お酒というものは世界でいちばん悪いもの。子供のときからそういうふうに考えさせられた私に…

インドで気づく

今まで世界のいろいろなところで働いてきた。ハンガリー、ルーマニア、ロシア(ハバロフスク、サハリン、タタールスタン)、ウズベキスタン、アルメニア、トルコなど。去年からインドに住んでいる。暑さに弱いので、昔からインドに興味はあったが、とても住…

日本文化の特徴

日本文化を知るためには、日本料理(洋食の影響を受ける前の日本料理)を知ればよい。料理は文化の粋である。人間が何であるかは、何をどう食べているかによって決まる。 日本文化がそうであるように、日本料理も中国料理の影響を受けている。それは、箸で食…

世界三大料理

いつのころからか知らない、割合最近のことだと思うが、「世界三大料理」というのを聞くようになった。その3つは、中華料理・フランス料理・トルコ料理だそうだ。 誰が言い出したのかのも知らないが、中華には異存はない。フランス料理は個人的に好きではな…

日本人肉食民族説

少し前の日本人は、自分たちは「農耕民族」であり、欧米の「狩猟民族」とは人種が違うのだ、ということをよく言っていた。それは、おとなしく、やさしく、和を尊び、集団主義であるという含意で、攻撃的で個人主義的な欧米人とみずからを対比するためであっ…

リキシャに踏まれる

四つ角で横断歩道を渡ろうとしたら、車は止まったが、その外側をリキシャが回ってきて、止まらずに通りすぎていった。そいつに足を踏まれた。だが、あまり痛くもなかったし、靴に跡もつかなかった。 要するに三輪オートバイで、バイクがリヤカーをひいている…

インドを路上で その2

インドに住んでいるものの、バンガロールからどこへも行っていない。弁論大会のときチェンナイへ行ったが、早朝にたって夜行バスでもどっただけ、駅から会場へ、会場からバスターミナルへタクシーやオートリキシャで移動しただけで、ほぼ何も見ていない。だ…

台湾的にしてウズベキスタン的でない

バンガロールのあるカルナータカ州の人々は、カンナダ語を話す。カルナータカ州の人口は5600万人で、カンナダ語は世界で27番目に話者の多い言語だそうだ。 国連公用語のような勢力のある言語でない、マイナーな言語を母語とする人々が日本語を学ぶときに、「…

ところかわれば・弁論篇

いろいろな国で日本語を教えて、今は南インドのバンガロールにいる。 その国にはその国の事情があり、特徴がある。国を替わるたびにそれを感じる。日本語教育というひとつの定点をもって、世界各国の観察ができる。快適とは言いかねる生活環境や薄給に耐えて…

この国の国父

ガンディーはインドで「国父」として敬われているようで、彼の誕生日は祝日、彼の肖像はインドのすべての紙幣に描かれている。 だが、「国父」と敬われる人々は、回天の将軍だったケマル・パシャはもちろん、孫文にせよレーニンにせよ武力をもって革命を成就…

インドを路上で

修士課程を作るんだと。だもので、何となく忙しくしていた。なに、実のところはたいして忙しくはないんです。ただ、いつもそのことが頭の隅のどこかにあって、ひまなときも頭はほとんどくつろぐことがなかった。それをもって忙しいと言っているわけなんだけ…