2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「探検」論、あるいはユーラシア交通史の中の能海寛

「探検」というのはなかなかに人の心を騒がすことばである。能海寛も「チベット探検家」とされることにその人気の大きなよりどころがある。だが、能海をよりよく理解するためには、この「探検」をはぎとってみる必要があるだろう。 初めて大西洋を渡ったり、…

牛鬼考補遺

大林太良氏によると、林羅山の「本朝神社考」に、「神功皇后が船で備前の沖を過ぎるとき、大きな牛が水中から出てきて船をひっくり返そうとした。すると、住吉明神が老人の姿になって出てきて、その牛の角をつかんで投げ倒した。したがって、その場所を牛ま…

正体不明の人びと

京大には正体不明の人たちがいる。桑原武夫、今西錦司、梅棹忠夫。3人とも第一級の学者とされており、それぞれ人文科学研究所・霊長類研究所・民族学博物館を作った。全集著作集も出ているのだが、ではこの人たちの主著は何かとなると、はたと考え込む。 桑…