2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

タタールを追って(3)

4.カザン・タタール人の民族形成 カザン・タタール人は、一言で言えば、金帳汗国から分かれて15−16世紀にヴォルガ川中流、カマ川と合流するあたりの地域に栄えた、イスラムを奉ずるカザン汗国の住民の後裔である。その版図の中核地域は今日のタタール…

タタールを追って(2)

3.歴史上のタタール 「タタール」という民族を歴史の流れで追うときには、13世紀のチンギス汗登場以前と以後に分けて眺める必要がある。それ以後この名称は、モンゴルと結びついて大きく拡散してしまったからだ。 「タタール」はもと中国の北辺にいた遊…

タタールを追って(1)

<幻想のタタール> 韃靼ないしタタールという言葉には、聞く者のイメージを強く刺激する異様な力がある。司馬遼太郎のような人には、それがさらに強く感じ取れるようだ。「私は、こどものころから、「韃靼」ということばがすきであった。・・・銀色にかがや…