2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

サハリン消息/「サーシャ」の影

着いたら、まず在留届を出しに行く。公的派遣であれば当然です。そのとき総領事館の人から安全上の注意を受けます。 フランス人がメッタ刺しにされて殺されただの、事例をいくつか聞きましたが、日本人が被害に遭った例として、夜、ドアをうるさく叩きながら…

サハリン消息/腰の軽い人たち

先日、ロシア極東・東シベリア日本語弁論大会がここユジノサハリンスクで開かれました。ウラジオストク・ハバロフスク・ユジノサハリンスクの総領事館のある3都市持ち回りで行なわれている大会で、今年はサハリンの番だったのです。 この地域に日本から公的…

サハリン消息/黒板消し

サハリンに赴任してまず最初の驚きは、「教室に黒板消しがある!」ということでした。ふつうボロぎれですよ、字を消すのは。ウズベキスタンにいたとき、ウズベク語の勉強にと独習書を買い、付録のウズ英対訳単語帳で第1課の語彙を調べていたら、見慣れぬ英…

タタールの民話(3)

「ウブル・タズ」(26) むかし三人の兄弟がいた。二人は賢かったが、三番目は愚かだった。その弟はウブル・タズ(お化けの禿公)といった。ウブル・タズは何をやってもやり通すことができなかった。兄さんたちは言った。「おい、ウブル・タズ、突っ立って…

タタールの民話(2)

「シュラレ」(15) 昔ある男が森で木を切っていた。そのそばにシュラレ(森の精)がやってきた。男は一心に木を切っていた。シュラレは男に、「名前は何てんだ?」と聞いた。男は、「俺の名はキョネンだ」と答えた。シュラレは、「くすぐりっこをしようじ…

タタールの民話(1)

バーリント・ガーボル 司馬遼太郎言うところの「巨眼の学者」大林太良教授が監修し解説を書いたG・クライトナー「東洋紀行」(全3巻、小谷裕幸・森田明訳、平凡社[東洋文庫]、1992−3)は、1877−80年という比較的早い時期に行なわれたハンガリ…