備忘録/彼らの大好きなナチス

ヨーロッパ人はナチスが大好きだ。それが証拠に、ナチスに関する本はよくもまあこんなにと思うくらい毎年毎年次々に出てくるではないか。
ナチスに対してカテゴリー的な拒絶をする人たちは、よく見てみるがいい。彼らのしたことはすべてヨーロッパの文明の特質を示すもので、それを極限まで推し進めているだけなのである。「ヨーロッパ文明の極北」というべきだ。戦争政策、反ユダヤ主義、規律、効率性の追求、大衆の動員、非寛容、民族主義と白人至上主義。すべて彼らが育んできたものだ。あるのは量的な差で、質的な差ではない。ヨーロッパ人がナチスを拒否するのは、みずからのおぞましい姿を映すゆがんだ鏡を見たくないからである。しつこくナチスを研究するのは、そうでありつつも魅かれているからである。