サハリン消息/「サハリン検定」

京都検定」「映画検定」など、日本では最近検定試験ばやりのようですね。別にそれにあやかったわけではないのだが、実はこんな検定を企てています。
サハリンは日本との深いつながりがある地域なので、ガイドの需要も日本語能力の需要もあります。しかしながら、今までは客観的な日本語力の評価の基準がなく、ほとんど「野放し」といっていい状態でした。「自己申告制」のようなものです。それを改善し、学習者に目標を、また人材を登用する側にも目安を与えるために、「日本語能力試験」の模擬試験を行ない、来年度からの本試験の実施を申請しています。
しかし能力試験2級は、サハリンで年に数名しか合格しないようなレベルで、かなり高いハードルであり、一方、3級では仕事をするにはやや低い。現実的にガイドとしてアルバイトをする者の多数は、この中間のレベルの日本語学習者であろうと思われます。
また、ガイドとしての仕事をこなすのに必要な基礎的知識を日本語でチェックすることも重要です。
そこで、日本の通訳ガイド試験のようなものを念頭に、日本語試験とサハリン試験の二本立てで、ガイドをするのに必要とされる日本語力とサハリンについての基礎知識を検定し、求められる人材の供給に知識レベルでひとつの証明を与えることを目指して、この試験を企画しました。これは資格を与えるものではありませんが、一定の質の保証ができるでしょう。学習者にとっても、採用する企業側にとっても、ひとつの確かな目安になると思います。
日本語試験は、日本語能力試験に準拠し、文字・語彙、読解・文法で構成する(聴解は行なわない)。2級と3級の間のレベルで、漢字は漢字検定7級(640字)程度。語彙・機能語は、3級の出題基準に「テーマ別中級から学ぶ日本語」に採られているものを加える。問題は教師会で作成。出題範囲の漢字・機能語リストは、受験料納付時に受験者に交付される。
サハリン試験は、サハリンの地理や歴史、観光知識などについて問うもので、戦前の和名なんかもどんどん質問するつもり。通訳ガイド試験の問題構成を参考にし、四者択一の形式で、60問60分程度を想定。問題文はもちろん日本語。問題作成委員会を作り、問題を考案する。
サハリン日本語教師会が主催し、協賛や後援を各方面に求める。合格者の同意を得た上で、合格者リストを後援・協賛団体に配布することにすれば、雇う側にとっても便宜が得られるし、受験者も雇用やアルバイトでメリットが大きいでしょう。問題作成を日本語教師がすることで、教師の訓練にもなります。読解問題も、サハリンについての文章を出題する。郷土について日本語で語る際に必要な語句を習得する助けになるでしょう。そのような語やフレーズが、教科書が一般的に観念する基礎語彙から逸脱していることは、ままあるものです。
一石何鳥もねらったこの企画、どうでしょう? 今年度は無理でも、来年やってみてもいいんじゃないだろうか。読解問題なんか、もうできてるんだけど。