詩二篇

      トランシルヴァニア悲歌

          アドルフ・メッシェンデルファー


     ここでは泉の音は異なり 時の流れは異なる
     驚きやすい少年は永遠の畏怖を早く知る
     よき奥城の中 父祖の遺骸は朽ち
     ためらいがちに打つ時計 ためらいがちに毀れる石
     門の紋章を見よ 疾うに色褪せたその手
     諸民族は行き来たり その名すらもはや知られぬ
     けれど敬虔な農夫は死者たちに種蒔き
     そこより取り入れ そこより酒を絞る
     ここでは三月の風の味は異なり 干草の匂いは異なり
     ここでは変わらぬ愛の誓いの響きは異なる
     赤い月 数多の夜のただ一人の友
     昼に焼かれた若者の額はその下に白く
     痺れる香りの力強い死の如く
     緑の夕暮の中 よき言葉の刻まれた樫の如く 彼は成年する
     星空のように確かに年月は経ていった
     ああ、もう九月 年はすでに傾く



      魂の村

           ルチアン・ブラガ


     少年よ 手を私の膝に置くがよい
     そう、永遠は村に生まれたのだ
     ここでは想いはり静謐で
     心は乱されることより少なく
     あたかも胸の内ではなく
     地の深くに鼓動している如く
     ここで救済の渇きは癒え
     傷ついた脚をかかえた者は
     縁側の土間に腰をおろす
     夕暮だ
     村の魂はわれらのそばをただよう
     刈草のひそやかな匂いのように
     藁屋根の軒にまつわる煙のように
     高い墓標のまわりを跳ねまわる子山羊のように