話されなかったスピーチ/すき、きらい、すき…

<すき、きらい、すき…/イェゴヤン・ナリネ

 民族や時代をこえて、愛こそかみさまがくださったいちばん大切なものだと言われています。愛は人を優しくし、人生にいみをあたえてくれます。愛にはいろいろな愛がありますが、今はそんなに広く紹介できないので、恋人同士の愛について話したいと思います。
 人はそれぞれの人生において、いちどはだれかに恋をすると言われています。そして恋はねんれいにかんけいありません。若い人も年を取った人も恋することができます。愛は人を大いに苦しめるのに、人は愛によって家族をきずこうとします。そして人々は愛のためにいろいろきみょうなこうどうをします。そのうちのひとつが愛の占いです。愛の占いで人々は自分の将来の恋人について知ろうとします。恋人がいる人も、その恋人がうんめいの人だとかくしんするために占います。
 むかしからアルメニアでは若者が占いをすることがさかんです。キリストきょう以前によく行われていた占いは、「しおからいパン」を食べる方法でした。キリストきょうを受け入れてから、その名前がかわりました。その日は1月21日で、「スルブ・サルギス」とよばれています。「スルブ・サルギス」の日にけっこんしていない男女はしおからいパンを食べて、水を飲まないで寝ます。眠っているとき、夢で水をくれる将来の恋人を見るそうです。
 ほかの民族にも愛を占うさまざまな方法があります。例えばロシア人は水とかがみで占います。かがみの前に水を入れたコップをのせて、その中にゆびわを入れます。コップの近くでろうそくをともすと、ゆびわの中に将来の恋人のすがたが見えます。
 そのほか、ロシアにはすごくこわい占い方もあります。それによると、女性は夜12時に一人でかぎをかけた浴室に入ります。浴室の壁にはたくさんのかがみがかけてあります。そしてあらかじめ二人のために作ったテーブルに二つのろうそくをともします。長い時間ちゅういぶかく見ていたら、ひとつのかがみに恋人のすがたが映ると言われています。
 このほかに、日本でもアルメニアでも花で占う方法があります。何か花を手に取って、その花びらをむしります。最初の花びらをむしるとき「好き」、次のをむしるとき「きらい」と言います。それをくりかえして、最後の花びらをむしるとき「好き」と言ったら、あなたが思っている人はあなたが好きで、「きらい」と言ったら、きらいです。
 アルメニアでいちばんさかんな占い方は、マッチの占いです。マッチを2本とって、一つには女の名前、もう一つには男の名前をつけます。そしてそのマッチをもやして、どこかにさします。マッチがもえつきたら、そのマッチがどんな形をしているかを見ます。どちらかのマッチがもうひとつの方へ曲がっていたら、そのマッチの名前の人はあいてのマッチの人が好きで、はんたいの方へ曲がったら、きらいです。もしマッチがまっすぐに立っていたら、その人はむかんしんです。
 この他にも占い方は何千もあります。今インターネットで占う若者が多いです。きょうみがある人は、インターネットを使ったり自分のやり方でしたり、毎日いろいろな占い方で占います。
占いについてのいけんは人によってちがいます。私は占いを信じません。だけどマッチで占ったことがあります。占いのけっかがよかったら、ちょっと信じます。気に入らないと、「こんなもの、ただのあそびだから」と考えて、すぐわすれることにします。だって本当にただのひまつぶしなんですから。私は占いをあまり信じていません。でも、すごく信じるとかならずかなうと聞きました。そうかもしれません。みなさんはどう思いますか。■


幽霊なんか信じない、という人は多い。でも、幽霊が出たらこわいと思う人はもっと多いし、その中には幽霊を信じないと言い切る人も含まれる。日本の「足占」なんて占い、知っていましたか? 私は知らなかった。彼女はインターネットで調べたそうだが、占いを信じない人に自分の国の占いを教えてもらってしまった。信じないと言い張るとき、それはそれとしてまちがいないのだろうけど、頭と心は別物で、別の論理があるのです。男と女もそうですが。